読者ラーメンコラムvol.18

「広島ラーメンの日」

私はラーメンが好きだ。特にご当地ラーメンやその土地でしか食べられないラーメンが好きだ。その土地で生まれたラーメンを食べるとその土地の文化や県民性を知ることができる。そんな私が広島出張に行くことになった。広島のラーメンを食べられる良い機会である。私は広島のラーメンに思いをはせながらその日を指折り数えた。

広島に到着し、まず訪問したのは『きさく』。広島といえば汁なし担々麺。広島の汁なし担々麺といえば『きさく』である。『きさく』は広島の汁なし担々麺の発祥のお店といわれている。スタンダードな「汁なし担々麺」は580円。値上げが続く外食の中でこの料金はお財布に優しい。私は「汁なし担々麺温玉入り」を注文した。痺れを感じる辛いタレと温玉の優しさと細麺がマリアージュして口の中に幸せが広がる。広島県民の新しいものへの挑戦心と熱さを感じさせる一杯であった。

きさく

きさく

次に訪問したのは、『すし久 九重商店別館』。こちらは元寿司職人の方がオープンさせたお店のようだ。元寿司職人のお店らしく、「鯛だしらぁ麺 鯛めしセット」や「海老らぁ麺 海老づけ丼」など魚介系ラーメンのメニューが売りである。私が注文したのは期間限定の「帆立らぁ麺」である。魚介系の濃厚な出汁の風味をしっかり感じるスープに全粒粉が少し入っている麺、具材の帆立がマリアージュして口の中に瀬戸内海を感じることができる。瀬戸内海のような明るく太陽の輝きを感じる一杯であった。

すし久 九重商店別館

すし久 九重商店別館

最後に訪問したのは、『上海総本店』である。こちらのお店は1953年創業の老舗でラーメン以外にも「焼きめし」が有名である。更に「おでん」がメニューにあるのが特徴的である。早速、セルフサービスの「おでん」とビールを頼み、店内で流れている広島東洋カープの選手が出演しているニュース番組を観ながら一日の疲れをいやす。私が頼んだのは「チャーシューメン」である。器から飛び出すほどのチャーシューがのっている。チャーシューは味がしっかりと浸み込んでいて柔らかい。スープは見た目ほど濃くはなく、あっさりと優しい味わいで毎日でも通いたくなる味である。市民球団である広島東洋カープのように地元から愛され続けていることがわかる一杯であった。

上海総本店

上海総本店

ラーメンは奥深い。その土地の文化に根付いたラーメンがあり、更に新しいラーメンが次から次へと生まれてくる。その土地のラーメンを食べるとその土地のことを知ることができる。そしてもっと知りたくなる。ラーメンを通じて広島の魅力を感じることができた1日であった。

(松田 貴浩)