「私の原点の味。茨城スタミナラーメン総本家 松五郎」
私はこれまで数あるラーメンを食べ歩いてきたが、今でもこのラーメンこそが一番であるという絶対に揺るがない一杯がある。
それは、
茨城スタミナラーメン総本家 松五郎だ。
ここのお店には長い歴史があるので興味ある人は調べて欲しい。
転勤族だった私の家族は、5歳の時に茨城県水戸市に引っ越してきた。引っ越した時から目と鼻の先にある一番近いラーメン屋ともいえたであろう。
初めて行ったのは6歳くらいの時だったと思う。初めて目の前にしたそれは、当時は嫌いなレバーが入っているし黒いし辛いし、6歳の私はとても食べれるものではなかったのを覚えている。それでもここのラーメン屋にはたまに家族で来ていた。その時は炒飯を頂いた。この炒飯についているスープが大好きで炒飯ってどんなものなのかはこのお店で覚えたようなものだった。
そして私が14歳の頃だっただろうか、スタミナラーメンを初めて美味いと感じる日が来たのは。
ある夏の日、部活が終わってかなり空腹であったのを覚えている。そんな日に祖母がスタミナラーメンを食べたいと言ったので、私はそれについていく。この当時から水戸はラーメン屋さんが多く所謂、激戦区だとまで私は思っている。だからこそ、松五郎に行くのは実に数年ぶりであった。
当時は食券システムでなく店員さんが注文を聞きにきてくれて、注文するスタイルであった。(現在は食券制)
「冷やしシングル 2つ」
ここのラーメンの認知度も軒並み上がってきており連日行列が絶えない人気店。
席に案内され、薄いお皿に乗せられた「スタミナラーメン冷やし」
冷やしとはスープオフの所謂まぜそばタイプ。麺は冷水で締めてある上に熱々の餡がのっている。
そしてホットとは鶏ガラ醤油ベースのスープに餡が乗っておりそれはもう熱々な状態で食べての心を揺さぶる。
でも冷やしを頼む人がいるくらい冷やしファンも大勢いるのである。
醤油ベースのスープと一味唐辛子のアクセントが効いた餡に素揚げされた豚レバー、ホクホクのかぼちゃや人参、キャベツ、ニラなど一見ラーメンにミスマッチのような組み合わせの餡とモチモチの中太麺をこれでもかと混ぜ合わせる。
この時の私は恐る恐るであった。
しかし、食べた時の感動と衝動は今でもはっきりと思い出せる。
甘辛い餡に麺がガッツリと絡む。
野菜の甘み、それに負けない餡の辛味、麺の食感。まさに三位一体であった。食べれなかったレバーは全く癖を感じない上に焼豚のように脂がないのでむしろさっぱりとしたお肉のようで、今までの私の食わず嫌いをとても後悔した。
「美味い……。」
心の中ではこの言葉が何度も頭の中を駆け抜ける。
今まで頭の中で「美味しくない」と決めつけていたものが信じられないくらい美味いものに変わったのだ。
もっと食べたい。食べ盛りの私のシングル(一玉)なんて5~6分程度で食べ終わってしまうだろう。
脳は完全に中毒状態に入ってしまった。
のちに私がラーメンフリークとなる原点がこの瞬間だったのかもしれない。
時折、部活動の終わりにはお小遣いで松五郎のスタミナ冷やしを1人で食べに行っていた。今思えば、中学生1人でラーメン食べるってかなり周りからの目があったのかななんて感じるが、それでもスタミナ冷やしを食べたいという欲求は抑えられなかった。
高校3年生の時には、茨城のラーメンマップを片手に殆どのラーメン屋さんは訪問していたであろう。
もちろん茨城のラーメン屋さんはどこも実力店ばかり、美味しいお店が多かった。
そして、大学生、社会人となった今現在、どこのラーメンを食べても人生で一番心に残る美味しいお店は
「茨城スタミナラーメン総本家 松五郎」なのだ。
〔通常、撮影は認められていませんが、茨城スタミナラーメン総本家 松五郎様の許可を得て写真を撮影しております〕
(谷 瞭)