日本ご当地ラーメン総覧vol.7

日本ご当地ラーメン総覧

第7回『宮城県・福島県のご当地ラーメン』

【宮城県】

東北各県には様々なご当地ラーメンがあるが、東北最大の仙台市を持つ宮城県ではあまり見かけない。とはいえラーメンに人気があり、山形市と新潟市が首位を争っている「外食費用家計調査」では、仙台市が3位にランクインする事もある。歴史ある中華料理店や食堂では中華そばが提供されていて、1937年には中華料理店「龍亭」が冷やし中華を開発した事も知られている。

そんな仙台市のご当地ラーメンとして知られているのが「からみそラーメン」。発祥店として知られる「味よし」は、山形県赤湯の「からみそラーメン」を元に考案したとの事。辛味をレンゲに乗せて、辛さを調整しやすくしている。

一方、県下では地元ならではの食材を使って、これからのご当地ラーメンを目指す動きも見られる。石巻では「サバだし」、気仙沼では「ふかひれ」や「サンマ香油」を加えたラーメンが登場している。

【福島県】

福島県には数多いご当地ラーメンが存在している。まずは「日本三大ご当地ラーメン」にも数えられる「喜多方ラーメン」。昭和初期の屋台から広まり、市内では食堂や中華料理店、ラーメン専門店が次々と開店した。市内のラーメン店による「喜多方老麺会」が組織され、情報発信や課題解決に取り組んでいる。

喜多方:食堂 はせ川(中華そば 醤油)

もう一つ、全国的な知名度を持つのが「白河ラーメン」。近年東京近郊でも出店が続いている。白河ラーメンを広めた「とら食堂」出身の店が、市内だけでなく関東、そして全国に広がっている。自家製麺(手打ち麺)比率が高く、ワンタンメンも人気なのが白河ラーメンの特徴。「とら系」以外にも、「火風鼎」などの名店も白河で味わえる。

白河:火風鼎(チャーシューワンタンメン)

会津若松市を中心に「会津ラーメン」を提唱する動きもある。「喜多方ラーメン」と共通点も多いが、太い平打ち麺を使ったり、豚骨の澄んだスープ(煮干し出汁を加える事もある)のが会津ラーメンの特徴とされる。市内のラーメン店による「若麺会」が、「会津地鶏ラーメン」などを提唱していたこともあった。

また、西会津町では町内のドライブインで提供されていた味噌ラーメンをベースにした「会津野沢宿味噌ラーメン」が食べられる。挽肉とたっぷりの野菜を煮込んで、中太縮れ麺と合わせるのが特徴になっている。

郡山市では2000年頃から、地元製麺所などが関わって「奥州郡山とんこつラーメン」への取り組みがはじまったが、市内全体に広まったとまでは言い難い。一方で、市内の老舗店による、黒醤油が映えて中太麺が入る澄んだラーメンが、「富山ブラックラーメン」の知名度アップに関連して「郡山ブラックラーメン」と呼ばれるようになった。

福島県内のラーメン店による「福島ラーメン組っ!獅子奮迅隊」からは、新しいご当地ラーメンとして「福島鶏白湯」が提唱されている。会津地鶏・川俣シャモ・伊達鶏の「福島三大鶏」を使うなど、福島県の食材を活用する取り組みも行われている。

(山本剛志)