第12回『新潟県のご当地ラーメン』
面積が広く、ラーメン消費量も多い新潟県では、ご当地ラーメンも多い。地元タウン誌「KOMACHI」が、定期的に県内のラーメンを取り上げている。その中で2000年代に定義された「新潟四大ラーメン」が、2011年には「新潟五大ラーメン」になった他、県内各地に様々なご当地ラーメンが点在している。
三吉屋 駅南支店「新潟あっさり醤油ラーメン」
【新潟あっさり醤油ラーメン】
昭和初期に、新潟市中央区、新潟島の繁華街に出ていた屋台で提供されていたスタイルがルーツとされる。火力の弱い屋台でも手早く茹でられるよう、極細の縮れ麺を使用し、スープは煮干をきかせたあっさり醤油味。
【新潟濃厚味噌ラーメン】
新潟市に隣接した巻町(現:新潟市西蒲区)で1973年に創業した「こまどり」で考案された味噌ラーメンは、赤味噌を使って塩分が強い濃厚なスープが特徴。割りスープを用意するようになり、濃い味噌味のスープを割りながら自分好みの味に整える食べ方が広まった。
青島食堂 宮内駅前店「長岡生姜醤油ラーメン」
【長岡生姜醤油ラーメン】
長岡市では、生姜の味を強く感じる醤油ラーメンが広まっている。豚骨を使ってスープを炊く際、匂いを消すために生姜を多く加えた事がきっかけと言われていて、それにより体が温まるスープになったという特徴がある。発祥の店とされる「青島食堂」は東京秋葉原にも出店し、「長岡生姜醤油ラーメン」を掲げる首都圏のラーメン店も多い。
杭州飯店「中華そば」
【燕背脂ラーメン】
昭和初期、中国出身の職人が屋台を引いた燕で「福来亭」を開店。スープに甘さとまろやかさを加える為に、当時の精肉店では廃棄されていた豚の背脂を加えるようになった。市内の工場への出前が増えるようになった昭和30年代、麺が伸びにくくなるようにと強力粉を用いた極太麺を使うようになった。1977年に福来亭の別館として「杭州飯店」が開店し、代替わりの際に本店が杭州飯店に移されている。
隣接した三条市にも同じスタイルのラーメンが広まった為、「燕三条背脂ラーメン」などと呼ばれる事もある。「煮干スープに背脂」の組み合わせはインパクトが強く、その味は首都圏などにも進出している味になっている。
【三条カレーラーメン】
発祥については、戦前に東京の食堂で修業した店主が三条市で立ち上げた「東京亭」と、初代店主が東京で食べたカレーライスにヒントを得たとされる「大黒亭」の二説がある。三条市内の食堂やラーメン店など、70店以上でカレーラーメンが提供されている。三条商工会議所がカレーラーメンマップを作るなどの取り組みを続け、2011年頃からタウン情報誌「KOMACHI」では、「新潟五大ラーメン」の表現で三条カレーラーメンが加えられている。
【三条っ子ラーメン】
1991年、三条市内の有志10店舗ほどが集まって考案した、長ネギを合わせた味噌ラーメン。かつては三条市の新たな名物を目指してアピールされていたが、「三条カレーラーメン」が話題を集めるようになってからは広まりは伸び悩んでいる。
【見附へそラーメン】
新潟県のほぼ中央にある事から「新潟県のへそ」をアピールしている見附市。市内の麺類業組合が2000年頃に考案したのは、大きなワンタンを乗せたワンタンメン。ワンタンの中には背脂・豚挽肉・椎茸が入っていて味を変化させる他、うずらのゆで卵を中央に乗せて「へそ」に見立てている。
【上越とん汁ラーメン】
妙高市や上越市の食堂をメインに提供されているのが、豚肉の他に豆腐や大量のタマネギなどの野菜が入って白味噌でまとめた「とん汁」と、中華麺を合わせた「とん汁ラーメン」。スープの動物系素材やニンニクをきかせるなどして、ラーメンらしさも感じさせてアツアツの一杯になっている。
【もつラーメン】
新潟県北部の新発田市の食堂で提供されている「もつラーメン」。あっさりしたスープのラーメンの上には、具として煮込んだ豚かしら肉が乗っている。1967年に創業した「食堂みやむら」で提供され、新発田市内に広まった。豚正肉なのに「もつ」と名付けられた理由は不明との事。
【冷丼】
「油揚げ」で有名な栃尾町(現:長岡市)の鈴多食堂で1951年から提供されている冷やしラーメン。冷やし中華と違い、ラーメンの丼をそのまま使うのでこの名が定着した。魚介出汁を活かしたあっさり醤油味のスープを、そのまま冷やしラーメンにしたスタイルの店が多く、通年で提供する店も多い。
【上越味噌ラーメン】
1966年頃、自動車学校の食堂としてスタートした「食堂ミサ」は、札幌ラーメンを研究して生まれた「味噌ラーメン」を看板に。白味噌ベースでニンニクをきかせ、たっぷりのタマネギをスープで煮込む事で甘さをほどよく加えている。この味が上越市、妙高市の一帯で広まっている。
【麻婆ラーメン】
新潟県内では「麻婆ラーメン」を提供する中華料理店やラーメン店が多い。その発祥は1967年開業の「広東飯店」とされ、新潟市を中心に、麻婆豆腐とラーメンを融合させた「麻婆ラーメン」が広まっていった。スープを減らして、麻婆の餡と中華麺を絡めて食べる店が多い。
【上越雪むろ酒かすラーメン】
2019年から上越地域で始められた取り組みで「上越産の酒かすを使うこと」「雪室に貯蔵した食材を使用すること」「発酵食品や上越産の野菜・魚介等をトッピングに使用すること」の3つのルールを定めている。例年冬季の限定ラーメンとして、上越地域の20店舗前後が参加している。
(山本剛志)
