日本ご当地ラーメン総覧vol.11

日本ご当地ラーメン総覧

第11回『神奈川県のご当地ラーメン』

【横浜生まれの「サンマーメン」と「家系ラーメン」】

東アジアで最大の中華街を持つ「横浜」は、歴史ある中華料理店も多い。昭和初期の「玉泉亭」「聘珍樓」などで提供され始めたのが「サンマーメン」。モヤシ、白菜などの様々な野菜と豚肉を中心にしたあんかけラーメン。広東料理をルーツに考案され、漢字では「生馬麺(生碼麺)」と表記。「生」は「シャキシャキした食感」、「馬」には「上にのせる」という意味がある。戦後、横浜市内の中華料理店から神奈川県各地に広まり、県中華料理業生活衛生同業組合に加盟する店の一部が「かながわサンマー麺の会」を組織している。

一方で、横浜のラーメン専門店で広まったのは「家系ラーメン」。1974年に創業した「吉村家」が作り上げたのは、東京の醤油ラーメンと九州の豚骨ラーメンを融合させたスタイル。21世紀に入ってから、吉村家の直系店や出身者だけでなく、チェーン店でも「家系」を標榜する店が急増して全国に広まり、つけ麺のように「ご当地の壁」を越えたラーメンの一ジャンルになっている。

元祖ニュータンタンメン本舗「タンタンメン」

【川崎の「ニュータンタンメン」と「アホーメン」】

川崎生まれのご当地ラーメンといえば、まずは「ニュータンタンメン」の名が挙がる。1964年に創業した中華料理店が1967年に考案したスタイルで、「タンタンメン」と言いつつ、中華の「担々麺」で用いる芝麻醤などは不使用。塩味のスープに溶き玉子・挽肉・ニンニク・唐辛子を加えていて、「川崎溶き卵タンタンメン」とも評される。現在は「元祖ニュータンタンメン本舗」の名でチェーン展開中。他のラーメン店や中華料理店でもメニューに加えている事がある。

川崎生まれのもう一つは「アホーメン」。スペイン語で「ニンニク」を意味する「アホー」から名付けられた。粒のままのニンニクを始め、刻みやおろしたニンニクを入れて炒めた具を乗せている。川崎駅近くの中華料理店「萬楽」で誕生したが、2011年に閉店。現在は同店にインスパイアされたラーメン店や中華料理店で提供されている。

 

【「小田原系ラーメン」と「小田原タンタン麺」】

湯河原町で1930年頃に創業した「味の大西」による、甘めでまろやかな豚骨ベースの醤油味のラーメンが、秦野市、平塚市以西の神奈川県で根付き、中心地の名を取って「小田原系ラーメン」と呼ばれるようになった。三つ葉を乗せたり、チャーシュー、ワンタンをメニューに加えていて、「チャーシューワンタンメン」を看板メニューにする店も多い。

小田原では独特なスタイルの「小田原タンタン麺」もみられる。1975年に小田原市北部で創業した「中華四川」のタンタン麺は、甘辛いとろみをつけて、挽肉やザーサイがたっぷり入ったスープに、麺が浮かぶように乗っている。同店で修業した人や、インスパイアされた人による店がある。

 

【神奈川淡麗系】

神奈川県では「淡麗系」と評されるラーメン店が、特に2000年以降に注目を集めるようになった。そのルーツには1986年に藤沢で創業し、現在は戸塚に本店を置く「支那そばや」がある。その後「くじら軒」や「中村屋」などが生まれ、鶏・豚・魚介などを組み合わせたスープに香味油をかけ、味わいと見た目の美しさを、酒に用いた「淡麗」になぞらえて表現した言葉で定着していった。

花水ラオシャン「タンメン」

【平塚系タンメン】

平塚市を中心にしたエリアには「平塚系タンメン」がある。中華料理店の「タンメン」とは全く異なり、塩味の澄んだスープに白い細麺。具にはワカメやタマネギが乗る事も。1957年に創業した発祥店「老郷本店」は2025年に閉店したものの。「花水ラオシャン」などの店舗が営業中。餃子と一緒に食べる人も多い。

牡丹「三崎まぐろラーメン」

【三崎まぐろラーメン】

全国屈指のマグロの水揚げで知られる三崎港を盛り上げたいとして、三浦中華料理研究会によって考案された新しいご当地ラーメン。スープにマグロで採ったダシを使う事と、トッピングにマグロを使う事が条件。三崎港周辺の中華料理店や食堂で提供されている。

(山本剛志)