日本ご当地ラーメン総覧vol.2

日本ご当地ラーメン総覧

第2回『日本三大ご当地ラーメンの謎』

全国各地のご当地ラーメンを紹介する前に、「日本三大ご当地ラーメン」について触れておきたい。日本ではよく「三大〇〇」という表現が使われる。「日本三景」「日本三大祭り」「日本三大花火」など、枚挙にいとまがない。そんな中「日本三大ご当地ラーメン」(以下「三大ラーメン」)も、知られた存在になっている。

「三大ラーメン」は一般的に、北海道の「札幌ラーメン」、福岡県の「博多ラーメン」、福島県の「喜多方ラーメン」を指す。この言葉の初出は確認できなかったが、2000年代前半には定着した表現と考えられる。では、この3つが何故「三大」と呼ばれるようになったのだろうか?

「三大ラーメン」は、売上や店舗数、ましてや味で決まったものではない。「三大」になった最大の要因は、そのラーメンが世間一般に知られるようになったタイミングに由来していると考えられる。インターネットがなかった時代の知名度は、メディアが集積している東京でのそれになる。

味の三平(味噌ラーメン)

味の三平(味噌ラーメン)

まず最初に話題になったのは「札幌ラーメン」。「ラーメンは醤油味が当たり前」の認識があった東京で、1970年の百貨店催事への出店をきっかけにブレイクし、東京発の味噌味のチェーン店が全国に広まった。

まこと食堂(中華そば)

まこと食堂(中華そば)

次に話題になったのは「喜多方ラーメン」と思われる。1975年にテレビ番組で紹介された事をきっかけに知名度が高まり、「朝からラーメンを食べられる蔵の街」として知られるようになった。

元祖長浜屋(ラーメン)

元祖長浜屋(ラーメン)

それと前後して話題になったのが「博多ラーメン」。1980年代に入って東京への出店が続き、1987年に環七沿いで開店した「なんでんかんでん」がブレイクした事で、知名度が一気に高まった。「味噌」「醤油」「豚骨」と、見た目や味が違うラーメンが並んだことも、「三大ラーメン」としての座りがよくなって、表現が広まったと考えられる。

「三大」が決まった理由はいわば「先着順」だった。全国各地には、これらに負けない人気を持つご当地ラーメンがあるが、一度社会に広まった「三大」が入れ替わるケースは少ない。「日本三景」や「日本三大夜景」が、「新」として新たな「三大」が選ばれたように、「新・日本三大ラーメン」が決まっていったら面白いとも考えます。10/5から始まる「ご当地ラーメン総選挙」がそのきっかけになったら、と想像しています。

(山本剛志)