日本ご当地ラーメン総覧vol.5

日本ご当地ラーメン総覧

第5回『青森県・岩手県のご当地ラーメン』

【青森県】

青森市では、昭和初期の蕎麦店で「支那そば」の名でラーメンが提供されていた。「津軽そば」同様に、煮干しや焼干しを使って澄んだ醤油味のラーメンが「津軽中華そば」として、青森市民の間で人気を集め、「津軽ラーメン」とも呼ばれた。煮干しラーメンは全国でみられるが、津軽中華そばでは希少な焼干しを使う店も多いことが特徴になっている。

また「濃厚津軽煮干しラーメン」も、弘前市から青森市にかけて広まっている。スープが白濁して、「津軽中華そば」よりも煮干しを更に強く感じる。近年では、津軽中華そばを「あっさり」、濃厚津軽煮干しラーメンを「こってり」などの名前で、メニューに並べている店もある。

煮干を使っているという点では、八戸市の「八戸らーめん」も共通している。澄んだスープは鶏ガラ豚骨などと共に煮干しを使い、その香りを漂わせている。麺はツルツルした細縮れ麺で、昭和初期から伝えられてきた味とされる。2002年に八戸市商工会議所などが「八戸らーめん会」を結成して、PRに努めている。

青森市内では「味噌カレー牛乳ラーメン」も人気の一品。札幌ラーメンの人気店で、中高生が様々な食材をラーメンに入れた事から生まれた組み合わせが、1978年に正式なメニューになり、弟子たちによって継承されている。

やきそばが人気の黒石市では、丼に入れたソースやきそばに醤油味のラーメンスープをかけた「つゆやきそば」が人気で、市内の食堂などで提供されている。

また、津軽半島の十三湖で獲れるしじみを使った「しじみラーメン」も、近隣の食堂などで提供されている。スープだけでなく、具にも十三湖のしじみを用いている。

 

津軽中華そば ひらこ屋(にぼだく)

【岩手県】

盛岡市ではわんこそばと並んで「盛岡三大麺」と呼ばれる「盛岡冷麺」「じゃじゃ麺」がある。どちらも中華麺とは違う麺を使っているが、ラーメンに近い麺類として紹介する。

「盛岡冷麺」は、小麦粉と澱粉を使った押し出し麺が主流で、焼肉店で提供するケースが多いが、焼肉店でも冷麺だけを食べる市民が少なくない。朝鮮半島から移住した方が冷麺店を立ち上げ、牛骨の澄んだスープにキムチやフルーツなどを乗せている。

「じゃじゃ麺」は中国東北部の「炸醤麺」をもとに考案された汁なし麺。現在中華料理店で食べられる「ジャージャー麺」や、韓国系中華料理店の「チャジャンミョン」と同じルーツを持つが、味わいが異なる他、麺を食べ終わった後に茹で湯と生卵で仕上げる「鶏蛋湯(チータンタン)」などが独特。麺は小麦粉と水で練り上げた平打ち麺で、中華麺よりもうどんに近い。

白龍(じゃじゃ麺)

沿岸部では、魚介類を使ったラーメンが様々に存在する。

「宮古ラーメン」は煮干しがきいた淡いスープの醤油味で、中細縮れ麺を合わせている。地元の製麺所がお土産ラーメンにその名を用いている。

「釜石ラーメン」もスープは煮干しメインだが、麺は極細の縮れ麺で、待たせずに提供される点が特徴。市内の中華料理店や食堂、そば店などが「釜石ラーメン会」を結成して活動している。

「大船渡さんまラーメン」は、「大船渡ブランド化推進会議」が2010年に提唱したもので、サンマをスープに使ったり、水煮や干物にしてラーメンに乗せるなどして、全国有数のサンマの水揚げ高を誇る大船渡をアピールしている。

そして、岩手県沿岸部全体の食堂で広がっているのは「三陸磯ラーメン」。マツモ・フノリ・ワカメなどの海藻類を用いて、「海鮮ラーメン」「浜ラーメン」などの名称でも提供されている。

新華園(ラーメン+半チャーハン)

内陸北部の二戸市では、「五穀ラーメン」が考案された。地元で収穫される、ひえ・あわ・たかきび・アマランサス・小麦の5種類を使った麺で、市内のラーメン店や食堂で提供される他、通販もされている。

(山本剛志)