100年後に残したい名店vol.21

「中華そばの不二屋」

松阪市の老舗である。老舗というと木造の建物を想像するが、行ってみると大きなビルで店内はカフェかファミレスのような内装である。

野口榮一氏が1929年にうどん屋として創業し、1955年に研究の末、中華そばを売り始めた。松阪市では初めて中華そばを売り出したとも言われている。現在は中華そばと焼きそばがメインの商品である。中華そばは湯麺またはちゃんぽんをヒントにしているようで、野菜がたっぷり入っている。ちなみに焼きそばは長崎の皿うどんを参考にしたとのことである。

中華そばの不二屋「中華そば」

ママカリ(サッパ)煮干し、鰹節、鯖節、鰯の煮干しなどでとった魚介系スープに自家製麺の細麺を合わせ、淡路の玉ねぎをはじめとした炒め野菜、かまぼこ、ナルトがのっている。サッパ煮干しがユニークである。一見なんの変哲もないタンメンだが、じわじわと後を引く。

中華そばの不二屋 内観

テイクアウトのお客さんが次々にやってくる、いかに地元の生活に密着しているかの証左であろう。100年近く愛されている店である。

(河田剛)

100年後に残したい名店:店舗情報

店名中華そばの不二屋
住所〒515-0083
三重県松阪市中町1900
電話番号0598-23-9605
※店舗情報は2025年08月現在のものです