ラーメン太郎 ~日本ラーメン検定への挑戦~【兵庫編】

神戸ラーメン第一旭

私の名前はラーメン太郎。
ラーメンをこよなく愛し、愛読書は「日本ラーメン検定」のテキスト、そんな男である。

新型コロナウイルスの影響で出張制限がかかり、「日本ラーメン検定」のテキストに載っているラーメン店に行くことが出来なくなり、ストレスのせいか3キロも痩せてしまった。

そんな私に願ってもないチャンスが舞い込んだ。仕事で神戸へ出張が決まったのだ。
コロナ禍の出張を申し訳なさそうな顔で頼み込む上司を横目に、心の中でほくそ笑んだ。思う存分、神戸のラーメンを堪能するいい機会だと!早速、私は「日本ラーメン検定」の関西編のテキストを読み返し、最高のラーメン出張にするための計画を立てた。

神戸ラーメン第一旭

神戸ラーメン第一旭

1軒目に私が行ったのは『神戸ラーメン第一旭』の三宮本店である。
昭和40年代に開業した老舗の名店であり、現在は京都の『第一旭』とは無関係になっていることは「日本ラーメン検定」で学んだことだ。

入店をして最初に目を奪われたのは入口正面のテーブルのどでかい観葉植物の存在感である。
セットメニューも充実しており、ついついセットを頼みたくなるが、これからのことも考えて、シンプルな「Aラーメン」を注文。580円とはお財布にも優しい。

 

神戸ラーメン第一旭

待つこと数分、銀色のお盆にのったラーメンがやってきた。麺の上にのっている刻みネギの多さにビックリ!レンゲの赤とネギの緑色が食欲をそそる。麺はストレートの細目で柔らかい。一口、スープをすする。あっさり、でもしみじみと身体に流れ込んでくる醤油味のスープと多めのコショウとの相性が抜群である。麺をすすると否が応でも絡みついてくる刻みネギの風味でさらに食欲がそそられる。具材のモヤシのアクセントも良い。

気が付いたら完食していた。恐るべし、神戸のラーメン。1軒目からハートを撃ち抜かれてしまった。

 

 

ロックンビリーS1

ロックンビリーS1

2軒目に選んだのは『ロックンビリーS1(スーパーワン)』である。
昼時に着いたのだが、10人ほど並んでいた。最後尾に並ぶが、お店を出てきた男性が私の後ろに並びなおした。

むむむ。先に食券を買う制度かと思い、ソワソワすると後ろに並んだ男性と目があった。少し話をしてみると男性は2回食べるために並びなおしたらしい。食べてまたすぐに食べたくなるとは、流石は名店である。

ロックンビリーS1

待つこと40分、ようやく入店できた。緊張感漂う店内の雰囲気にこちらも気合が入ってくる。
オーナーのリーゼント、キビキビした動き、そして湯切りの姿がカッコ良くついつい見とれてしまう。メニューも醤油らぁ麺の「尼ロック」、塩らぁ麺の「Sロック」、つけ麺などもあり悩んでしまう。

さんざん悩んだあげく、「尼ロック」にした。麺はツルツルと喉ごしが良い。鶏ベースのあっさりだけど深い味わいで旨味たっぷりのスープで鶏油の香りとコクが食欲をそそる。薄切りにされたチャーシューは上品な味つけでスープの味を邪魔しない。

まさに壁に飾られている通り、“叫びたくなるうまさ”であった。

もっこす

もっこす

次に私が行ったのは『もっこす』である。
こちらは『神戸ラーメン第一旭』で働いていた人が味を作ったとされているお店だ。「日本ラーメン検定」のテキストで事前情報はバッチリである。ちなみに店名の『もっこす』とは肥後弁で頑固者という意味である。お店は、昔ながらの“中華そばや”という雰囲気で安心させられる。

ここでは「中華ぞば」を注文。850円と『神戸ラーメン第一旭』よりは高めであるがその分チャーシューが花のように咲いている。
昼時の為、店内は満席に近い。客層も若いカップルからご老人、40代のサラリーマンにガテン系と様々で老若男女から愛されているのが伝わってくる。

もっこす

『神戸ラーメン第一旭』同様、着席して数分でラーメンがやってきた。すぐに出てくるのが神戸ラーメンの良いところの1つである。
銀色のお盆に丼がのって、刻みネギが麺の上にたっぷりのっている。麺は細麺だがいくらか固め、パツパツ感が強い。スープは醤油味が濃く、麺と一緒にすすると麺に絡む刻みネギが口の中をさっぱりさせてくれる。薄切りのチャーシューも味がしっかりと染み込んでいてジューシーである。

ふと卓上を見ると何やら角切りの黄色ものが置かれている。一瞬パパイヤかと思うが、そんなわけはない。タクワンである。タクワンを小皿にのせて食べてみる。舌がリフレッシュされていくらでもラーメンを食べられてしまいそうだ。卓上には唐辛子、ニンニクチップ、生ニンニクがあって味の変化も楽しめる。
お店を出る際には、「おおきに!」という店員さんからの元気な声がけ。

胃も心も神戸の人になったような気持ちでお店を出た。

大貫

大貫

兵庫のラーメンの締めに私が選んだのは関西最古のラーメン店ともいわれている『大貫』である。
こちらも「日本ラーメン検定」の受け売りである。現在は尼崎に移転しており、尼崎の商店街を歩いていると黄色い看板が目に入った。

店内はテーブル席がメインで落ち着いた雰囲気である。人気の「ヤキメシ」とのセットにするか悩みに悩んだが、胃の具合がそろそろ限界にきていたので、泣く泣く「中華そば」を単品で注文することにする。

 

大貫

こちらの店も注文から5分くらいで着丼。
白い丼に特徴的な茶色のスープ、大きなチャーシューとメンマ、そしてたっぷりのキクラゲがのっている。

スープは100年追い足し熟成醤油ダレを使用しており、やや酸味があって滋味深い。今まで食べたことがない独特なスープ。麺は自家製足踏みたまご麺で、やや中太の麺で程よい弾力の食感が絶妙にスープにマッチしている。チャーシューは厚みがあり、トロトロで食べ応えがある。食べ応えのあるキクラゲ、メンマも美味しい。

大正元年から続く100年以上の歴史は伊達じゃない。

あぁ・・・。今回も美味かった。
今日食べたお店のことは一生忘れない。胃袋で覚え込んだラーメンは一生ものである。
「日本ラーメン検定」がなければ、この味には出会えなかっただろう。素敵なラーメンに出会えたことに感謝しつつ、名残惜しい気持ちで兵庫を後にした。

(ラーメン太郎)