こってりらーめん なりたけの巻
総武線と新京成線が走り、商業施設が充実し学生が集まる街である津田沼。JR津田沼駅の北口を出て5分ほど歩くと「こってりらーめんなりたけ 津田沼店」はある。
なりたけの店舗は現在、千葉県では津田沼の他、幕張・本八幡、東京都では池袋・錦糸町、福岡県では西新にあり、かつてはパリにもあった。
店名の由来は成田さんがやっているからなりた家(け)というわけだ。
こってりらーめん なりたけ
券売機で「しょうゆらーめん」と「大盛(麺2倍)」のチケットを買う。麺の大盛だけではない。「めんま大盛」も買う。トッピングの「コーン」も。「わかめ」も。「バター」も(!)「チャーシュー」も買おうか悩むが思いとどまる。最高の幸せは簡単に手に入れてはならない。
脂の量は「さっぱり」「普通」「ギタギタ」から選べるが個人的には普通が好きだ。
なりたけのモチモチとした自家製の中太麺はスープとよく絡み、しいたけを用いたスープは旨味たっぷりでいつも裏切らない。
油と塩分。ラーメンに必要な要素。背脂はマイルドで食べやすく甘みがあるが、スープは絶妙にくせになる塩分濃度でこれが中毒性を生んでいる。
たっぷりのメンマにホロホロのチャーシュー、それにトッピングで追加したわかめとコーン。盛り上がったネギの上に鎮座するバター。丼からはその全ての香りを包含した湯気が立ち上る。
味噌ではなくしょうゆにバターをトッピングするのか、と思われるかもしれないがそんなルールはどうでもいい。なりたけでは自分の気持ちに素直になればいいのだ。
背脂が覆うスープから麺を引きずり上げ、一気にズバズバとすする。こってりといっても嫌なくどさはない。ザクザクとしたネギも中和してくれる。
こってりらーめん なりたけ
ラーメンにはロジカルなラーメンもあれば、本能に訴えかけてくるラーメンもある。なりたけは後者で本能に訴えかけてくるラーメンを丁寧に作っている。
時には友人と深夜の背徳感を共有し、時には眠れない夜に元気をもらうラーメン---。なりたけはそんなラーメンだ。
張り詰めた厨房から提供されるらーめんは客には優しい。
(ラーメンプロフェッサー 牛島 貴之)