ラーメン史コラムvol.3

久留米

「豚骨ラーメン発祥の地『久留米』」

九州の豚骨ラーメンが、今のような白濁スープになったのは、1947(昭和22)年に開業した屋台「三九」。偶然に強火で炊き続けていたスープが白濁し、それを提供してみたら人気を博した。
その後、「三九」は九州各地に出店し、鹿児島県以外の九州各県に白濁豚骨スープを伝来していく事になった。

 久留米市には大学があり、ブリヂストンなどの工場も多い。若い人が多いことで豚骨ラーメンに人気が集まっていったものと思われる。
戦後次々と引かれていた屋台はそれぞれに店舗を構えていく。

久留米

また、物流の大動脈としてトラックが行きかう国道3号線沿いに、1958(昭和33)年に開業したのが「丸星ラーメン店」。元々はドライブインとして焼き芋やおでんを提供していたが、常連のドライバーからの要望でメニューにラーメンを追加。
現在も24時間営業を続けながら、常に豚骨を炊き続けていて、地元客が次々とやってきている。

白濁スープは油脂こそ控えめだが、豚骨の存在感は濃密。
博多ラーメンよりはやや太い中細麺がスープに馴染んでいて、啜る時の心地よさを楽しめる。

久留米

スープを飲むと、丼に「祈る 安全運転」の文字が出てくる。

 半世紀以上、国道3号線を行きかうドライバーの胃袋を支えてきた老舗は、彼らの無事を願いつつ、豚骨スープをかき混ぜているのだろう。

(山本剛志)