日本ご当地ラーメン総覧vol.13

日本ご当地ラーメン総覧

第13回『北陸・長野県のご当地ラーメン』

【富山県】

富山市生まれの「富山ブラックラーメン」は、1955年頃に当時屋台だった「西町大喜」で誕生した。戦後復興の途上で、ビル建設に従事し汗をかく労働者が、白米だけの弁当を持ち込んだ事が、ごはんに合うほど塩分が多く、胡椒を多くかけた醤油の濃いスープを生んだとされる。しばらくは富山市内でも個性が強い少数派のラーメンだった。その「西町大喜」は2000年頃に閉店し、市内の企業が屋号を受け継いで店舗を増やしていた。その頃、富山のラーメン好きがネット上で名付けた「富山ブラック」の名が、全国に広まっていった。近年は、醤油の黒さを残しつつもしょっぱさを抑えた「富山ブラック」も増えている。

西町大喜「富山ブラックラーメン」

「富山ブラック」の成功に刺激され、入善町商工会青年部有志が考案したのが「入善ブラウンラーメン」。入善沖の海洋深層水から採取した塩と、地元産の味噌、海老のエキスを使って、やや赤みある茶色のスープが特徴になっている。
その後、2012年には小矢部市で「おやべホワイトラーメン」(豚骨スープに肉味噌を乗せ、小矢部産の食材を1つ以上使う)、高岡市で「高岡グリーンラーメン」(高岡産のほうれん草を使った、緑色の見た目のスープ)が誕生。
以上4種類のご当地ラーメンを、富山県は「富山県カラーらーめん」と名付けてPRしている。

【石川県】

1990年代、UFOで町おこしした羽咋市では、食堂が考案した「UFOラーメン」が話題を集めた。ホタテをUFO、ゆで卵を月、イイダコを宇宙人など、具で絵を描くような「見立て」の楽しさがあって、店によって様々なバリエーションがあった。

2010年代からは「加賀味噌ラーメン」も広まっている。甘さを感じる赤味噌「加賀味噌」を使ったタレを、動物系の濃厚スープと合わせたラーメン。金沢市周辺のラーメン店で提供される他、ラーメンイベントでしばしば見かける。

【福井県】

福井県で知名度が高いのは「敦賀ラーメン」。昭和28年頃、敦賀駅近くでラーメン屋台が徐々に増えた。その後、トラック輸送が一般的になった事で、屋台は国道8号線沿いに集まるようになり、「敦賀屋台ラーメン街道」として知られるようになった。今でも街道沿いに屋台やキッチンカー出店し続けている他、店舗を構えた人気店もある。鶏や豚を使った濁りあるスープのラーメンが多く、紅生姜を乗せるケースも少なくない。

また、越前市では「たけふ駅前中華そば」が話題を集めている。武生駅から自転車で11分以内で行ける範囲で、あっさり澄んだスープを使った中華そばの店を観光協会が指定している。

山むろ「たけふ駅前中華そば」

【長野県】

長野県で歴史を持つご当地麺として、伊那地方の「ローメン」が挙げられる。昭和30年に中華料理店の店主が、製麺所社長らと協力して創作したメニューで、キャベツとマトンを炒め、蒸した中華麺を加えてスープ、ウスターソース、ニンニクなどを加えて作られた。これは、当時日持ちする食材で、栄養バランスを取った味という時代の要請に基づくものだった。スープで半分浸したラーメン風と、スープのない焼きそば風の2種類があり、卓上の調味料を使って好みの味付けにして食べる事が推奨されている。

また、信州味噌発祥の地と知られる佐久市では「安養寺らーめん」が提供されている。佐久市の「安養寺みそ」を80%以上使用した味噌ダレを使う事が条件で、市内の8店舗が提供している。

長野県内のラーメン店が参加している「信州麺友会」では、2012年に「王様中華そば」を発表。麺友会に参加する店舗が提供して話題を集めた。2010年に閉店した長野市の「光蘭」が提供していたスタイルで、醤油味のスープ、ざく切りしたネギ、多めの黒胡椒、そしてたっぷりの油でアツアツに仕上げられ、熱さで徐々に甘さを出すネギが特徴を出している。

「信州麺友会」では、信州味噌を100%使った「信州味噌ラーメン」も考案し参加店で販売し、監修したカップ麺も発売された。大きく切ったシャキシャキのネギを乗せ、隠し味にすりおろしたリンゴを使っているのも特徴の一つになっている。

(山本剛志)