ザッツ☆エンターテイン麺ト!vol.1

こまどり姉妹

こまどり姉妹

『こまどり姉妹のラーメン人生』

こまどり姉妹は全盛期にはザ・ピーナッツと並ぶほど人気があった双子(姉、栄子さん、妹、敏子さん)の演歌デュオで、NHK紅白歌合戦には7年連続で出場している。また、林家木久扇師匠と並び、ラーメン好き芸能人の草分け的存在でもある。「涙のラーメン」(1963年)、「こまどりのラーメン渡り鳥」(2014年、現時点での最新シングル)とラーメンにまつわる曲を2曲発表している。「こまどりのラーメン渡り鳥」では、歌詞の中で北海道、喜多方、浅草、博多というラーメンのご当地を歌い上げている。
こまどり姉妹

こまどり姉妹の父親は戦前樺太で炭坑夫をしていたが、戦後北海道に引き上げ後仕事が無く、姉妹は家計を支えるために11歳で流しを始めた。その時一緒に回る地元の親分の息子が仕事終わりにご馳走してくれる屋台のラーメンがあまりに美味しくて(姉妹は極貧のためそれまで美味しいものを食べたことがなかった)、ラーメンが大好きになったという。ドキュメンタリー映画「こまどり姉妹がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の中では帯広のラーメン店「五十番」でそれぞれ塩と醤油を注文して途中で交換するラヲタ仕草を見せている。
 こまどり姉妹のラーメンの食べ方はユニークである。おもむろに胡椒をふりかけるのは年配の人によくあるが、その後コップの水をスープに入れるにはびっくりする人が多いかもしれない。極貧で温かい物を食べたことがなかったため、極端な猫舌になってしまい、かつてラーメンの温度が下がるのを待っていたところ、横取りされたことがあるからだと姉妹は語っている。これもまた、ラーメンがこまどり姉妹の人生と固い結びつきを持っていることの証であろう。デビュー62年、83歳になる今でも姉妹は毎日ラーメンを食べているそうである。

(河田剛)